EUと南米、FTAで合意 発効手続きは難航の可能性
(VOVWORLD) -欧州連合(EU)と南米南部共同市場(メルコスール)は6日、ウルグアイの首都モンテビデオで首脳級会合を開き、自由貿易協定(FTA)に関して合意しました。両者は約25年にわたり、協議していました。
(写真:THX/TTXVN) |
今回の合意により、中国への貿易依存を軽減するのに役立つほか、トランプ次期米大統領が示唆する関税引き上げの影響を和らげることへの期待もあります。
FTAの発効には加盟国による承認が必要ですが、フランスなど国内農家からの激しい反対を抱える国もあり、発効手続きには課題も残ります。
協定での合意を受けた記者会見で、欧州委員会のフォンデアライエン委員長が「この協定は経済的な機会を広げるだけでなく、政治的にも重要だ」述べるなど、世界的に保護主義が勢いを増す中、自由貿易の必要性を指摘しました。
ただ、会見に同席したブラジル、アルゼンチン、パラグアイの各大統領からは発言がなく、温度差も見られました。
2019年の大枠合意の内容から、公共調達、自動車貿易、重要鉱物輸出に関して修正が加えられました。また、南米各国の懸念を和らげるため、環境対策に関する付属書も追加されました。
一方、欧州の農家は、安価な牛肉などの輸入拡大につながると警戒しており、フランスは「受け入れられない」と協定に反対の立場です。欧州の農業団体は6日、協定への反対姿勢を改めて表明し、ブリュッセルでの抗議を呼びかけました。ポーランドも先週、現在の形でのFTAには反対すると明らかにしました。
一方、ドイツやスペインは、この協定がEUの貿易の多様化にとって極めて重要との立場です。南米各国は自動車や機械などの輸出先となるほか、電池材料となる金属リチウムなどの重要鉱物の供給元になる可能性があると考えています。さらにEUからのチーズ、ハム、ワインなどの関税が下がるとして、農業上の利点も指摘しています。
協定発効には、EUの人口の65%を満たす27加盟国のうち15カ国の承認と、欧州議会での過半数の賛成が必要となります。(ロイター)